客席が……2019/04/07

2018年5月20日(日)
京都市交響楽団第623回定期演奏会
京都コンサートホール

指揮:広上淳一
ピアノ:河村尚子

バーンスタイン:交響組曲「波止場」
ショスタコーヴィチ:交響曲第9番
バーンスタイン:交響曲第2番「不安の時代」


バーンスタインの「波止場」。静かに始まるが(コープランドを連想した)、まもなく、激しいリズムの音楽が展開される。ショスタコーヴィチの9番も、「不安の時代」も、リズム感がないと苦しい。全曲を聴いてまず思ったのが、「重い演奏になってしまうと、お話にならない曲ばかりだな」ということ。この点、京響は見事なノリ。

「不安の時代」は、井上道義=東フィル、大植英次=大フィルで二度実演に接していたのだが、いずれもピアノは小曽根真。今回、はじめて別のピアニストで聴くことになった。

「おや」と思ったのが、ピアノの配置。東フィル、大フィルとも、協奏曲の場合と同じく、ステージの前面にピアノが置かれていたが、今回の京響は指揮者と向き合うかたち。ソロピアノが重要な役割を担う曲であることは確かだが、「あくまでも協奏曲ではなく、交響曲。ソロピアノがクローズアップされすぎてもよろしくない」という意図が感じられた(真意はわからないが……)。実際、河村のピアノも、悪目立ちすることなく、オケとうまく溶け合っていた。

バーンスタインは、ここぞというときに、指揮棒を持った右手に左手を添えて振ることがあるが、広上さんが何度かこのしぐさを見せていたのには、ちょっと笑ってしまった(尾高さんもよくやってますね)。

20世紀に書かれた曲ばかりというプログラムが災いしたのか(?)、広上=京響コンビの土日の公演にしては、少々空席が目立っていたのがちょっと残念。聴いた人は、トクしたと思うが……

あの熱狂は、いずこへ2019/04/06

2018年5月4日
びわ湖ホール
近江の春びわ湖クラシック音楽祭

指揮:大植英次
ピアノ:アンティ・シーララ
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団

グリーグ:ピアノ協奏曲
バーンスタイン:『ウエスト・サイド・ストーリー』より
 「シンフォニック・ダンス」


6年ぶり(!)に聴いた大植=大フィルだったが、かつてのような熱狂(オケも、客席も)は感じられず……

渋いプロ2019/04/04

2018年4月20日(金)
兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール

兵庫県立芸術文化センター管弦楽団第105回定期演奏会

指揮:井上道義
ヴァイオリン:オリヴィエ・シャルリエ
管弦楽:兵庫県立芸術文化センター管弦楽団

ヒンデミット:序曲「エロスとプシュケ」
ヒンデミット:交響曲「画家マティス」
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲


ヴァイオリン協奏曲をメインにもってきたあたり、演奏頻度が高いとはいえないヒンデミットがメインでは定期会員以外の集客が見こめない、という判断が働いた、と見るのは意地が悪すぎるか。井上道義好みの渋いプログラム。演奏は、可も不可もなし。

個人的今年の漢字 ―「失」2018/12/30

2018年は、いろいろなものを失った1年であった。

6月から10月にかけて、電気製品が次々と故障した。9月には、生きかたに関心と共感とを寄せていた樹木希林さんが亡くなった。11月には母方の祖母 ― 樹木さんの面白さを教えてくれたのは、この祖母だった ― が死去した。12月には、これまで抱えていた、とある仕事を引き受けないことになった。

祖母は数年来、寝たきりであり、晩年はコミュニケーションもほとんど取れず、栄養も鼻からチューブで摂取する状態に置かれていた。8月に見舞った折、、最後の面会になるかもしれない、と周囲からは言われていたし、9月末には、母から「覚悟しておけ」と伝えられていたこともあり、死去の連絡を受けるまでは何かと落ち着かなかった。引き受けなくなった仕事についても、今年の春以来、続けるか否か、迷い続けていたものであった。率直にいって、心配の種、悩みの種がなくなり、吹っ切れたことは否定できない。もっとも、「吹っ切れた」といっても、能天気な性格ゆえ、それほど自分の中で大きな変化が起きたわけではないのだが。

そんなこんなで、2019年は、仕切り直しということになりそうである。あ、「仕切り直し」は毎年言っているか。

相次いで昇天する家電製品たち2018/10/11

今年6月以降、洗濯機、アイロン、ドライヤーと、立て続けに家電製品が壊れている。

洗濯機は使用時に異音がするようになったな、と思っていたら、道路工事か解体工事でもしているのか、といわんばかりの騒音を発するようになって、慌てて買い換えた(6月)。アイロンは前日まで問題なく使えていたにもかかわらず、突然、電源が入らなくなった(9月)。ドライヤーは、しようとしてプラグをコンセントにつないだとたん、バチッと音がして火花が散り、あたりに焦げ臭いニオイが漂った(10月)。洗濯機は10年目、アイロンは9年目、ドライヤーは25年目(!)だから、故障するのも無理はないとはいえるのだが、ムダな出費を強いられた、という気持ちにさせられることもまた確かである。

今の住まいに移ってきて10年目、それに合わせて購入したオーブンレンジも一昨年に買い換え済み(「昨年」とツイートしたが、一昨年のことであった)、掃除機も昨年末、ノズル部分を買い換えている。そろそろ、冷蔵庫が危ないかもしれない。

スプリング・「レクチャー」・コンサート2018/09/14

2018年4月8日(日)
京都コンサートホール
京都市交響楽団 スプリングコンサート
指揮:高関健

バーンスタイン:「キャンディード」序曲
サン=サーンス:交響詩「死の舞踏」
デュカス:交響詩「魔法使いの弟子」
ベルリオーズ:幻想交響曲

「オーケストラが描く物語」というテーマで開かれた、京響のスプコン。高関による「物語」と楽曲との関連の解説を挟むことにより、「単に名曲を並べましたよ」というだけではなく、聴き手の理解をヨリ深めるような内容になっていたのはよかった。京響は、いつもどおりの充実ぶり。安心して聴けた。

気迫2018/09/12

関西フィルハーモニー交響楽団第290回定期演奏会
2018年3月31日(土)
ザ・シンフォニーホール

指揮:飯守泰次郎
ブルックナー:交響曲第8番(1890年稿ノーヴァク版)


飯守=関西フィルのブルックナーシリーズも、8番まで来た。「全曲聴くぞ!!」と気合いを入れていたにもかかわらず、初回の1番の日程を失念してしまったこともあって、2番、3番を聴いただけでここに至ってしまった。もっとも、サイフの問題もあって、飯守指揮でCD化されている曲目(東京シティフィルとの4番、6番、7番)、2004年にすでに関西フィルとの演奏を聴いた4番を避けたということもあるのだが。

金管の負担が大きく、かといって金管が弱いとどうにもならない—ブルックナーの交響曲全般についていえることだが—曲だが、この日の関西フィルは、金管が勇壮に鳴り響き、その点では問題なかった。飯守も、冒頭から唸り声を発してオケを煽り、気合い十分。最後まで気迫を保ったまま駆け抜けた。プレトークで飯守も触れていたが、スコアの指定どおりにハープも3台準備され、関西フィルが総力を挙げて取り組んだことが、そんなところからも窺えた。

ところで、ホルンのエキストラに、大フィルの山本氏が加わっていた。大フィルのブル8は、井上道義指揮のときを除き、常にハース版での演奏だが、この日はノーヴァク版だっただけに、戸惑いはなかったのだろうか。

ひときわ光った大フィル合唱団2018/09/10

大阪フィルハーモニー交響楽団第516回定期演奏会
2018年3月9日(金)
フェスティバルホール

指揮:井上道義
ピアノ:アレクサンデル・ガジェヴ
合唱:大阪フィルハーモニー合唱団(合唱指揮:福島章恭)

バーバー:ピアノ協奏曲
ショスタコーヴィチ:交響曲第2番「十月革命に捧げる」
ショスタコーヴィチ:交響曲第3番「メーデー」


とにかく、大フィル合唱団に尽きた一夜。ロシア語を学んだことのない身で言うのも僭越だが、あまりなじみもなく、また決して易しくはなかったであろうロシア語の歌唱を、よくクリアしたものである。

2018年度の大フィル定期に井上は登場しないが、また、ショスタコを取り上げてくれることを期待したい。

バーバーについては……正直、曲をよく知らないので、保留。

凡事徹底2018/09/07

2008年3月4日(日)
びわ湖ホール
R. ワーグナー「ワルキューレ」

指揮:沼尻竜典
演出:ミヒャエル・ハンペ
美術・衣装:ヘニング・フォン・ギールケ
照明:齋藤茂男
音響:小野隆浩
演出補:伊香修悟
舞台監督:幸泉浩司

ジークムント:望月哲也
フンディング:山下浩司
ヴォータン:青山貴
ジークリンデ:田崎尚美
ブリュンヒルデ:池田香織
フリッカ:中島郁子
ゲルヒルデ:基村昌代
オルトリンデ:小川里美
ワルトラウテ:澤村翔子
シュヴェルトライテ:小林昌代
ヘルムヴィーゲ:岩川亮子
ジークルーネ:小野和歌子
グリムゲルデ:森季子
ロスワイセ:平舘直子

管弦楽:京都市交響楽団


びわ湖リング第2弾。2日目の公演に参戦。

演奏がはじまって「あれ?」と思わされたのが、抑え気味の京響の演奏。歌手に配慮してヴォリュームをセーヴしたのか。歌手のほうも、やはり声量は抑え気味のところも。ただ、ここぞという場面では精一杯歌っていることが看て取れた。長丁場だから、これもやむなし。

ハンペの演出は、前年の「ラインの黄金」を踏襲し、プロジェクションマッピングを駆使してワーグナーのト書きどおりに進む。第3幕では、ワルキューレたちが天馬に乗って駆けてくるところなどをCGで表現していたが、これは少々、マンガチックにも感じられた。

演奏も演出も、やるべきことをきちんとやりとげた、という、午後のひととき。

2017コンサートベスト32017/12/30

今年のコンサート参戦は10回にとどまったが、その中からベスト3を挙げてみる。

1位 2月18日 フェスティバルホール
 大阪フィルハーモニー交響楽団第505回定期演奏会

井上道義の首席指揮者としての最後の定期。終始高い緊張感が維持された、わたしが経験した大フィルのベストコンサート。


2位 3月5日 びわ湖ホール
 R.ワーグナー「ラインの黄金」

いよいよスタートを切った「びわ湖リング」。上々の滑り出しとなった。沼尻竜典=京響の演奏はもちろんだが、ミヒャエル・ハンペによる、プロジェクションマッピングを駆使したワーグナーのト書きに忠実な演出も注目された。来年の「ワルキューレ」以降も期待大。


3位 11月22日 フェスティバルホール
 大阪フィルハーモニー交響楽団第513回定期演奏会

今シーズンよりミュージック・アドヴァイザーに就任し、来期より音楽監督の座に就く尾高忠明の指揮によるオール・モーツァルト・プログラム。厚めの響きながら見通しがよく、各パートの音が明瞭に聴き取れた。


番外:7月14日 フェスティバルホール
 大阪フィルハーモニー交響楽団創立70周年記念
 第55回大阪国際フェスティバル2017
 バーンスタイン
  シアターピース「ミサ」
   — 歌手、演奏家、ダンサーのための劇場用作品 —〈新制作〉

井上道義総監督・指揮・演出によるチャレンジングなプログラム。意義のある試みだったし、内容も興味深かったが、何度か再演されないとその真価は理解できないかも。


……という次第で、これだけだと大フィルが健闘した1年のようだが、全体としては、今年も京響が最も充実していたように思う。来シーズンのプログラムを見ていても、当分、関西のプロオケは京響の天下が続きそうである。